クロ ゴルフエッセイ 〜クロがゴルフに関するエッセイを綴ります〜
第26話  阪神優勝
18年ぶりに阪神が優勝した。私は特に強い阪神ファンでもないのだが、なんとなくギスギスして沈んでいる日本の経済や雰囲気の中で、そして、計算高かったり、ちょっと危険な人が増えている中で、久しぶりに元気な素直な純粋な日本人の姿を見た気がする。仕事や学校など日常のことを忘れて、阪神に没頭して応援している、そして、人目も気にせず、大人の男性も女性も感動で、嬉し涙を流している純粋な屈託のない阪神ファンの姿を見て、久しぶりに何だか爽快な気分になった。日本が、そして日本人がもう忘れていると思ったものが、実はまだ存在していたんだと、まだまだ日本も大丈夫かなと何だか嬉しい気分になった。

18年というのは、本当に長い月日だったと思うし、実際に長かったと思うが、ファンの姿で印象的だったのは、弱いときも精一杯応援していること。そして、負けていても精一杯応援していること。決して見放さない。阪神ファンでなくても、この姿を見ると、人の底力というか団結力、信頼感、純粋さなど、今の時代に欠けているかなと思っていたものが、まだまだ沢山存在することを気づかせてくれたし、「人生何が重要かもう一度考えてみましょう」と教えてくれたような気がする。こんな中、みんなでやっと勝ち取った優勝は、喜びもひとしおだと思う。

そして、今回は星野監督の采配や、気配り、そして言葉にもいろいろ学ぶものがあった。同じ器でも、中身を変えること、方針を替えることによって、こんなにも変わるものかと改めて教えてくれたと思うし、人生にも、仕事にも、そしてゴルフにも重ね合わせていろいろ学ぶことが多かった。

私は、シンガポールに住んでいるので、あまり見ることはできなかったが、いつもとは違う阪神の快進撃の中で、試合運びや、星野監督の言葉には印象的なことが多かった。その中でも一番印象的だった星野監督の言葉は、「切り替え」である。まだ優勝が決定していない時に、勝利に何が一番必要かという話の際に、「気持ちの切り替え」という言葉を聞いたとき、これだ!と思った。つまり、どんなに失敗しても引きずらない、負けていても次の回は気持ちを切り替えて挑戦する。今年の阪神は、確かに無理だと思われるような逆転勝利をたくさんしている。この気持ちの切り替えと粘り強さの大切さは、ゴルフにも人生にも共通するものがあると思った。例えば、ゴルフで池につかまり、ダブルパーを叩いても、次にバーディーを取ってしまう、そんな切り替え、最後まで諦めない粘り強さは、ゴルフにも共通の要素ではないかと思った。また、ドライバーの調子が悪いのに、あえてそのドライバーに固執して何度もOB叩いてしまう結果になるのではなくて、だめなら3番ウッド、あるいはアイアンにさっと切り替えて打っていく、そんな感じの戦略も印象的であった。そして、とにかくチームがまとまっているという印象を強く受けた。そして選手一人一人が頑張っているという印象も受けた。今年は何かが違うと、阪神ファンでなくても気付いた人は沢山いるだろう。粘り強く張っている人が集まっているところには本当に強いエネルギーが作られるものだなと思った。

また、星野監督が2年前から行なった徹底的なチームの改革も印象的だった。企業の管理職の方達には、いろいろ自分と重ね合わせて考える人も多かったと思うが、私自身、この快進撃の最大ポイントは、星野監督があの伝統色が強い阪神電鉄を改革について説得してさらに実行してしまったことだと思う。人間あるものを大きく変えるというのは、リスクも伴うし、現状維持よりも何倍ものエネルギーを使わなければいけない。新しく提案したいけど失敗したら責任取れないし、大変だからとりあえず触らないで静かにしておこうという人が社会に多い中で、あの阪神電鉄を動かしてしまったのだから、そして、選手達を動かして、蓋を開けてみれば日本の経済まで動かしてしまったのだから、すごいものだと改めて思う。プレッシャーも半端じゃないものすごいものだったと想像する。スポーツ紙にファンに対するありがとうの全面広告を載せるくらい太っ腹、そして、ずっと応援してくれたファンを思いやるやさしい気遣いを忘れない人柄も併せて、やはりこれだけの結果と社会現象を生んだのだと思う。

阪神優勝から学んだ、人生、仕事、そして、ゴルフに対するヒント。以前、ゴルフと人生は良く似ているという話をしたが、この阪神優勝がヒントだけでなく、勇気や夢も与えてくれたのは言うまでもない。そして、久しぶりに爽快感を感じることができたし、元気をもらった。個人的にはチーム改革といって、なんとなく、ゴルフクラブを全面変更するゴルファーが出てくるのではと、またまた阪神優勝経済効果を想像してしまう今日この頃である。

(2003年9月22日



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