| 第1話 ゴルフ大好き |
まさかこんなにゴルフが好きになるとは、想像していなかった。ドライバーショットのあのボールがへばりつくような感覚に魅せられ、また、自分がイメージした通りにボールを運べた時の満足感に魅せられて、すっかりゴルフにハマってしまった。
子供の頃、日曜日になるとゴルフに行っている父を見て、「止まっている球を打ってなにが面白いんだろう?」、そしてゴルフの中継をテレビで観ている父親を見て、「なにが面白いんだろう?」といつも子供心に不思議に思いながら、休みなのにゴルフでいない父親の帰りを迎える一言めは、「パパ今日賞品は?」だったのを今でも思い出す。その賞品を玄関で受け取って、包みを開けるのが子供の時の週末の楽しみだったのである。ドラコン賞、ニアピン賞など意味もわからず、「パパ今日はドラコン賞だ!」なんて、包装の上に張ってある文字をただ読んで言っていたのをいまでも鮮明に覚えている。賞がついていればなんでもすごいと小さい頃は思うものである。でも、子供ながらにも一等賞であったりトロフィーがあるとうれしかったり、賞品の大きさが大きいほど、開けるのにわくわくしていたのを覚えている。
ある日その父親が使っていたゴルフセット一式がシンガポールの私の手元に届いた。その時から、私のシンガポール生活はがらりと変わったのである。週末にアパートの50mプールで泳ぐのを楽しみにしていた生活から、週末にドライビングレンジに通う生活に変わってしまったのである。そのゴルフセット、実はその時から数えて約10年前のもの。スチールシャフト、ソールは薄く、フェースも小さく、もちろんメンズクラブ、今から考えると良くこれで練習していたなと思うようなクラブだが、このクラブとの出会いで私はゴルフというスポーツに出会えた。そして、ゴルフというスポーツを楽しむだけでなく、ゴルフを通していろいろな方々と出会える楽しさも味わい、今ではいろいろな意味でほんとゴルフを始めて良かったなあと思っている。
先日、ある友人に「今までの人生で後悔ってある?」と、ふと聞かれた。その時に、「ちっちゃな後悔、例えば、あと10分早く起きていれば良かったのに、、、なんていう後悔はあるけど、大きな意味での後悔はないかな?」と答えた。でもその後に「後悔というか、残念なのは、ゴルフの大好きだった父親と一緒にゴルフをする機会がなかったことかな」と思わず付け加えてしまった。父親は15年前に病気で亡くなった。最初にシンガポールに届いたクラブ一式は、実は父が亡くなる前に新調したクラブだったのである。一緒にプレーできたらどんなに楽しかっただろうといつも思うが、きっとどこかでゴルフが大好きになった娘の姿を見ていてくれていると信じている。
(2001年4月1日) |
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